スコーロンは、揮発してバリアを作るタイプでは無く、蚊が生地に触れることにより効果を発揮する接触忌避タイプの素材です。したがって、蚊は寄ってくるものの、SCORON生地に触れると防虫剤を感知して、吸血せずに逃げ出します。
スコーロン加工を施したアームカバー+グローブを右手に、加工無しのアームカバー+グローブを左手に着用し、それぞれ数十匹の蚊を放したケースに入れて5分間放置すると・・・。結果は歴然です。
【 実験ではマダニにも効果が認められています 】
日本全国に生息し、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)やライム病など、重症化すると死亡することもある多くの感染症を媒介するマダニ。知らず知らずのうちに吸血されてしまうので、予防が難しいという点では一番怖い存在です。
アース製薬では、マダニに対してもスコーロンを用いた実験を行い、有効性を確認しています。
〔試験方法〕
1.スコーロン加工生地と未加工生地を直径4cmのシャーレに敷き詰める。
2.マダニを各3匹ずつ生地の上に乗せ、蓋をする
3.約12時間放置後、マダニの様子をマイクロスコープで観察する。
〔試験結果〕
スコーロン加工ありのほうは、3匹ともほとんど動かなくなっていたが、スコーロン加工なしのほうは、3匹とも歩き回っていた。 |
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■洗濯耐久性
従来の防虫機能をもった素材は、防虫剤を入れた小さなカプセルを生地に付着させるタイプのものが多く、このカプセルが洗濯で脱落し、防虫効果が衰えやすいものでした。
一方スコーロンは、洗濯30回後でも、綿・ポリエステル素材ならば100%、ニット素材で86%の防虫効果を維持していることが確認されています。洗濯耐久性を飛躍的に向上させた、画期的な防虫素材と言えます。
■UVカット+吸汗速乾
虫さされ以外にも、アウトドアの大敵なのが紫外線です。
紫外線は皮膚にダメージを与えるだけでなく、過剰に汗が蒸発し脱水症状を引き起こす原因にもなります。
紫外線から肌を守るには、高温化でも出来るだけ肌の露出を少なくし、なおかつ肌面をドライに保つ必要がありました。
そこで、日本生まれのアウトドアブランドとしておなじみの「Fox fire」は、スコーロンにUVカット機能と吸汗速乾機能をプラス。
激しい発汗運動や強い日差しの中での着用にも適しています。
■Q&A -素材・効果について
Q.手の甲や顔、首筋など、露出している部分への防虫効果はありますか?
A.露出部分に一直線に飛んできた場合には効果はありません。しかし、少ない露出部分に一直線に飛んでくることは稀で、袖や肩口などを転々とし、回り込んできます。実験では多くの蚊が、露出部分に到達する前にスコーロンの生地に触れて逃げていきました。
Q.アブやハチには効きますか?
A.効きません。体の大きさが蚊と同様以下で、一般の防虫剤が効くような虫でなければ、効果がありません。
Q.洗濯しなければ、効果は持続しますか?
A.洗濯をしなくても、紫外線や空気(酸素)の影響により、防虫剤の効果は徐々に低下します。ご使用にならないときは直射日光をさけて、タンスの中などの冷暗所に保管していただければ、より効果が長持ちします。
Q.防虫剤は飛散、蒸発することはないのですか?
A.スコーロンに使用している防虫成分は、沸点が360℃以上と高いため、常温で飛散、蒸発することはありません。
Q.アイロンを使用しても大丈夫ですか?
A.アイロンは低温で当て布をしてご使用ください。
Q.クリーニングに出しても大丈夫ですか?
A.防虫効果が低下する恐れがありますので、洗濯表示に従いドライクリーニング及びタンブラー乾燥器は使用しないでください。
Q.効果が低下してしまった場合、回復させる方法がありますか?
A.ありません。吸汗速乾・UVカット性能をもった一般のアウトドアウェアとしてご使用ください。
■Q&A -安全性について-
Q.肌が弱い体質なのですが、使用しても大丈夫ですか?
A.パッチテストなどで皮膚への刺激などについて試験を行い、刺激性がなく安全性が高いことを確認しておりますが、繊維に防虫剤が固着されていますので、アレルギー体質や敏感肌を自覚されている方はご使用をお避けください。
Q.スコーロン商品を誤って舐めたりしても安全ですか?
A.スコーロンに使用されている防虫剤は、昆虫には強い作用を示すものの、哺乳類には安全性の高い化合物です。この防虫剤は体内の分解酵素により速やかに分解され、短時間で体外に排出されます。例え誤舐しても経口的に摂取される可能性のある量はごく微量であり、体内に蓄積されることはなく、毒性上問題になることはないと考えられます。
Q.小さい子供がいるのですが、注意点はありますか?
A.成人を対象として安全性試験を行い、安全であることを確認しています。しかしながら皮膚貼付試験等では、乳幼児を対象とした試験が行えませんので、「乳幼児に安全です」とは言えません。そのため乳幼児には出来るだけ触れさせないようにしてください。洗濯時もスコーロン素材と乳幼児の衣類を一緒にすることは、出来る限り避けていただくことをおすすめします。
Q.どのような薬剤を使用しているのですか。
A.有機エステル系の防虫剤を使用しています。哺乳類に対する作用は弱いので、安全性の高い薬剤です。