音声分析ソフトウェア Raven Pro（レイブン・プロ）の使用手引書です。

Raven Proの最新バージョンは1.6.1であるものの、組み込まれているユーザーズマニュアルは1.4の古いものしかないため、著者の石井さんが1.6を操作しながら完成させたそうです。

 

＜本書の解説として、著者である石井さんのコメントを紹介します＞

ここに、鳥声解析の中級者向け指南書をお届けする。
すなわち、有償版のRaven Proを用いて、本格的に鳥声処理--鳥声の録音から、音声部分の検出、音声分析、分析結果の判別・評価--するための解説書である。もちろん、本書をもとに、鳥声処理の世界に入門してもらっても構わない。
前著「Raven Liteを用いた鳥声分析入門」では、主として（録音、CD、ネットから）うまく取得した「きれいな鳥声データ」をRaven Liteに取り込み、それを閲覧・編集し、必要部分を音声分析して中身を解釈する方法を解説した。Raven Liteの上位版で有償のRavem Proには、「きれいな鳥声データ」を作成するための手法（自動検出）や、複数の音声データを比較して同種の鳥によるものかを識別するための手法（相関）、あるいは、多数の歌データの分析結果を一覧表示して人間のパタン認識能力を援助する機能（選択部一覧表示）など、この分野で苦労した人が渇望していた機能が盛り込まれているのである。
前著をきっかけに鳥声を探求することの魅力に気が付き、本格的にこの世界に分け入りたいが、英語のソフトと英語のマニュアルに躊躇している方々に本書を送る。石塚徹、ドナルド・クルーズマなどの鳥声に関する最近の書籍を読み解き、鳥歌のすばらしさを実感し、さらには自分の好きな種の鳴き声に関して新しい知見を広げようではありませんか。
本書は5つの部分：準備編、操作編、実技編、資料編、および付録編（および、索引）からなる。
準備編は、Raven Proの入手と使用契約の締結について説明するもので、この種の過程に不慣れな方にも理解できるよう詳しく記述した。
実技編では、種々の鳥声データを用いて、音声分析結果を読み解く方法を解説した。鳥声に関する着目点は、高い声、早い声、レパートリ、鳴き交わし、左右鳴管、個体差、おおよび声まねである。
付録編では、鳴き声データを扱っている際に必要な機能だが、Ravenには具備されていない機能を備えたフリーウェアとして、ストリーミング音声の録音、音楽CDからのデジタルデータの抜き出し、ステレオデータの編集を紹介した。
 

【⽬次】
準備編
序章 ソフトウェアの入手と組込み
操作編
　１ Raven Pro全容
　２ Raven窓
　３ サウンド窓
　４ 録音
　５ スペクトル解析
　６ サウンドの操作－－選択、編集、測定、注釈
　７ 大きなデータセット
　８ 多チャネル信号
　９ 相関
　10 検出
　11 カスタム化
実技編
　E１ 高い鳴き声を出す鳥
　E２ 早い鳴き声を出す鳥
　E３ 歌のレパートリを探る
　E４ 雄と雌の鳴き交わし
　E５ 左右の鳴管からの声
　E６ 鳴き声の個体差
　E７ 声まね
資料編
　R１ Raven窓
　R２ メインメニューとコンテクストメニュー
　R３ ツールバー
付録編
　A１ ストリーミング音声の録音
　A２ 音楽CDからサウンドデータを抜き出す
　A３ ステレオデータの編集
　A４ サウンドファイル形式
文献
索引
 

〔石井さん著の以下書籍と併せてご覧ください〕

日本鳥類声紋図鑑【下巻・スズメ目】

「Raven Liteを用いた鳥声分析入門(増補改訂版)」