タイトル通り、Raven Lite（レイブン・ライト）というソフトウェアを使用した鳥の音声分析の入門書です。

本書の第１版は2020年5月出版されましたが、本書は第1版にあった数か所のバグを訂正し、かつコーネル大のウェブサイトの紹介を最新の内容に改めています。さらに、Raven Liteを用いた鳥声分析の実例が大幅に拡充されています。

さらに、Raven Liteを用いた鳥声分析の実例が大幅に拡充されています。

 

＜本書の解説として、著者である石井さんのコメントを紹介します＞

鳥の鳴き声は凄い。ある鳥のさえずりは、我々の耳には、高い声でチリチリと聞こえるだけだが、もし１／10に減速し、1/10の周波数に低くして聞いてみると、何と、きれいな旋律を規則正しく発声しているのだ。鳥の発声器官である鳴管は２つに分かれており、それを個別に制御して、同時に2つの声を出したり、2つの声を交互に出したりしているのだ。
Raven Lite（レイブン・ライト）というソフトウェアは凄い。録音された鳥の声を減速して（周波数を下げて）再生することができる。また、2つの鳴管が動作しているのを、スペクトログラムという音声分析の結果を見て、納得することができる。そして、このソフトが、無料で使用できるのだ。コーネル大学鳥類研究所にエールを送ろう。
しかし、残念なことに、このRaven Liteというソフトは、メニューやボタンの説明もすべて英語であり、（英語の）取扱説明書も古いものしかないのだ。それでも、英語を何とか読みこなせる鳥学者は、このソフトを使用しているようだが、鳥の鳴き声が好きな一般の鳥見人（バーダー）にはちょっと敷居が高そうだ。
というわけで、鳥声の魅力にはまってしまった筆者が、自分の備忘録（死語？）をも兼ねて、このソフトの入手法、セットアップの方法、そしてその使い方、あるいは表示される音声波形や分析結果であるスペクトログラムの見方を、（この方面に予備知識のない方を想定して）平易に説明することにした。
Raven Liteを自分のパソコンにインストールすると、動物音声の実例として、数種の鳥類、ザトウクジラ、アフリカ象などの鳴き声データが同時に組込まれる。本書では、これらのサンプルデータに対して、その音声長や使用目的に応じて、いろいろの方法で読出して、分析結果を表示する過程を示した。さらに、内外のサイトに掲載されている鳥などの鳴き声データ、YouTubeに公開されている各種の音声データ、あるいは市販の鳥声CDに収容されている音声データを、（デジタルデータのまま）パソコンに取込む方法を説明している。
2020年5月に本書第1版を出版したところ大きな反響を戴いた。そこで、第1版にあった数か所のバグを訂正し、かつコーネル大のウェブサイトの紹介を最新の内容に改めた。さらに、Raven Liteを用いた鳥声分析の実例を大幅に拡充した（12→41ページ）。これらにより、増補改訂版という名称を付した。
 

【⽬次】1 組込む
2 起動
3 ファイル
4 録音
5 波形表示
6 スペクトログラム表示
7 再生
8 編集
9 スペクトルおよび平均スペクトル
10 ファイル入出力
11 サウンド系の設定
12 カスタム化
13 鳥声分析の実際


＜仕様＞
ページ数：135ページ
サイズ：‎18.2 x 0.81 x 25.7 cm

〔石井さん著の以下書籍と併せてご覧ください〕

日本鳥類声紋図鑑【下巻・スズメ目】

「Raven Pro/Liteを駆使した本格的鳥声処理術」