第8羽 「着物でハーネスに至ったわけ」

着物を毎日着始めて2年近くになります。もちろん、どこへ行くのも着物。「どこってどこ?」ということになれば「博多へ飛行機で」「新幹線で広島に」「弾丸バスツアーで河津さくら」「水元公園にオオヨシキリ」「いつものきよしくんのコンサート」「6年ぶりのシャ乱Q再始動ライブ」あたりでしょうか?もちろん近所の買い物もカラオケもラーメンも着物、爆チャリもこなし、お仕事ももちろん着物でございます。
今年の東京バードフェスティバルは急遽ブースの看板を出すことが不可となったものの、うちのブースは着物姿の私がトウのたった看板娘となって一目でみつけられたと言われました。

でも、これまで私の暮らしにはどこを切り取っても「着物」の文字はなかったのです。若い頃のお着物三大イベントといえば「七五三」「成人式」「結婚式」でしょうか。
まず、七五三、ベージュのシャーリングに小バラの刺繍が飛んでいる、ファミリアのお嬢様風のワンピースでした。祖父母のいなかったサラリーマンの我が家では、精一杯の両親の思いがこもったもの。ピンクや赤が嫌いだった私は、このベージュのドレスは一番のお気に入りでした。
結婚式は、何をどう着たって大奥のお女中になりそうだからと、角隠しと打ちかけは断固拒否で、ドレス2枚で通しました。唯一成人式では着物を着たのですが、それも思いっきり渋い黒地に小花の「千總友禅」の振袖でした。赤やら朱やらのキラキラしたものを断固拒否して、唯一気に入ったのがそんな地味な着物だったので、京王百貨店の呉服売り場の人が「これなら40歳になっても着られますけどねぇ」とため息混じりに言われたものです。

その成人式の時の着物を着ないともったいないからと袖を切って、安西英明さんの結婚式の時に着ていきました。高司と2人でお祝いのコメントを…とリクエストされていたので、一生懸命台本を書いて二人で覚えて行った…はず…なのに。新郎でもない高司が何故かおおいに舞い上がってしまって、台本はすっ飛び、話も飛びという大変なことになりました。「いやぁ面白かった!」「ああいうお祝いもいいねぇ」と出席者の方から大絶賛をされたものの顔から火。いまも一部で根強く伝説となっている「安西氏結婚式における谷口夫妻・夫婦漫談事件」でございます。私が着物でなければ「漫談」まで言われることまではなかったかも…と、この一件で私は着物に封印をしたはずでした…

で、その私が何故!?着物に走ったかといえばネットオークションがきっかけでした。子ども達の夏休みがやっと終ったある日、ぼ~っとパソコンに向かってピコピコしていたら、とっても美しい帯に行き当たりました…「日本のブーケ」というタイトルがついた袋帯です…あ、この時点で袋帯は何だかは私は全然わかっていません。
ともかく黒地に散った柄がとてもキレイ。さくら・うめ・ふじ・かきつばた・きくetc色んな日本の花々が色鮮やかに一種ずつ丸くリースになって刺繍されていて、ため息をつくほど美しいのです。
結婚も、引越しも即決で、二日にまたいでモノを考えたことがないのに、さすがにこの帯は4日も悩みました。値段は大好きなローラ・アシュレイのワンピース並なのですから、後に着物の世界をのぞいて驚愕するお値段には程遠いリーズナブルな帯です。でも帯を買ったら着物や着物周りも考えなければならないと思うと即決ボタンがなかなかクリックできなかったのです。
すごくすごく悩んだ末「とりあえず」その美しい帯を買うことに決めました。

帯はお仕立てつきで2週間後に京都から届きました。でも「お仕立て」とか「京都」とかのキーワードにはあまり心魅かれはしなかったのです。それよりただぺったんと折りたたんであるだけの帯をみて「この帯でだれでもお太鼓ができるってことは、もしかしたら着物ってフリーサイズ!?」というあたりにとても魅かれたのです。
何故なら、その頃ローラ・アシュレイの販売員のお姉さんに「谷口さん、もうそろそろサイズありません…」と心配顔で言われていたのです。もちろんデカイ方のサイズがもう後がないということです。すっかりドスコイ!体型になっていたにもかかわらず、それでもラーメン行脚を続けていたら、縮むはずないワンピースの丈がどんどんと短くなり「????」と思ったら身幅にとられていたという、情けないじたいにまで遭遇。まさに「痩せる努力をする」「ラーメン行脚をやめる」「洋服を諦める」の3つの選択を迫られてもいたのです。
一番偉くて賢い選択は「痩せる努力をする」でしょうが、着物で過ごすという裏技を使えば「洋服を諦める」選択ができるではありませんか♪

ネットオークションをみれば着物がとても安く売買されています。誰かが着た、いわゆる古着には抵抗があるので「着用歴あり」とか「しみあり」とか言うものを除いてみても、それでもかなりの着物が出回っています。おそらく作ったものの着る機会をのがして、箪笥の中で着物だけが若いまんま…ということでしょうか?
何もわからないまま、まず新品仕付けつきという着物を買ってみました。三越とタグのある、木々の萌える緑のような美しい十日町紬です。15000円…高いのか安いのかわかりません。けれどセーター1枚分ちょっとの値段なので、エイヤ!っと気合で落札しました。三越製の十日町紬でこの価格なんて、フツーに買ったら有り得ないのですが、これも着物を知った後でじっくりわかった話です。

手当たり次第に着物関係の本を読みながら、こうやって手探りで帯や着物をネットで見つけていくと、ほんとに色々なモノと出会いました。中でも魅力的なのが「鳥」の柄です。とくに「フクロウ」は縁起物、「福朗」「福老」「不苦労」「福籠」と色んな当て字で呼んでは、帯の名前に組み込んでいます。
実はホビーズワールドの吉成さんと親しくお話しするきっかけになったのも、私の着物でした。あるときはフクロウ柄の帯をたいそう面白がってくださったり、銀座の高司の個展の時は足袋にフクロウを見つけてくださったり…さすがプロのバードウオッチャーだけあって「鳥」の柄を見つけてくださるのが早いのです。よくお話を伺うと、学校を卒業されて、何と呉服屋さんにお勤めだった過去をお持ちだったのですね~
「着物は自分のために、帯は今日これからお会いする方のために」選ぶものなのだそうです。でもせっかく選んでも誰も気づいてくれなければ悲しいでしょう?吉成さんはちゃんと気づいてくださって、それが嬉しくて、私は「フクロウ」やら「千鳥」やら「何だかわからないけれど鳥」の柄のものを帯だけじゃなく集めるようになりました。

鳥の柄を探す合間には、花や木を、具象化したもの、抽象化したものいろいろな柄に出会います。この素敵な世界を見るたびに日本は四季折々の楽しいこと、美しいものを見つけるのが上手な国だったのだなぁとしみじみ思います。そしてその美しい着物や帯を、手軽に手にとって愛でることができる幸せも噛み締めています。
私の着物はネットオンリー。呉服屋さんの高い敷居はまたがないまんま現在に至っています。かなりリーズナブルに、洋服なら着ないような色や柄の組み合わせを楽しむことができるので、着物が余計身近になったのですね。
いま、この文をお読みいただいている方はネットもちろんOK!でしょうからぜひ、ネットオークションで着物や帯をご覧になってみてください。なかなか味のあるバードウォッチングができると思います。そして今までの着物への価格の概念も打ち破られることと… 

さてさて、モノだけ集めても着物は着られるようにはならないのは当然のこと。こればかりは本をよんでもどうにもならず、最初は着付けてもらったり、帯が締められない~と駆け込んだり、お友達頼りだったのです。情けない…それでも習うより慣れろでどんどん着ていき、数回お教室に通って目からウロコも落ちて、20分もあれば袋帯までしめてお出かけできるくらいにはなりました。ひもや帯状のものだけで着物をまとって形を決めていくのは、最初不安でしたが、いまではこのシンプルさにとっても魅力を感じています。

そして着付け駆け込み寺の一人だったタカコさんと、今では自称「美人ユニット姉妹」を組んで、着物関係の色々を初めているところです。叶姉妹転じて不可能姉妹と言う芸名もあり?との節も浮上しましたが、一応「こちどり」で決定。
姉のタカコさんはうちのカードやポスターを全て手がけていただいている印刷会社の社長さんでもあります。そして6歳から日舞を習っていて、この秋には国立劇場のお舞台にも立つほどの人なのです。だから着物関係も明るいのです。彼女から言わせるとネットの世界の着物や帯の値段は「信じられな~い!」「何それ~!?」とのこと。でも踊りのお仲間からも昔の着物の相談とか、実際着物が回ってくることもあるので、それを活かすためにネットショップ「こちどり」も立ち上げることにしました。これはただいま始動中ですが…
ネットショップに先立ち、春に開催された「谷根千=谷中・根津・千駄木」での「一箱古本市」には2人とも着物で参戦、ちゃんと「谷根千賞」までいただいいてきました。このイベントを束ねていた南陀楼綾繁さんとは事前に何度か「こちどり姉妹で~す♪着物で伺いま~す」というメールのやり取りをしていたものの年齢をカミングアウトする機会もないまま古本市当日になり、ちょっと引かれちゃいましたが…ま、姉妹といえば「こまどり」やら「かしまし」やらのユニットもあるのでご容赦いただいて…
その、気持ちだけは十二分に若い「こちどり姉妹」今では「荻窪きもの美人塾」を毎月一回開催するほど、着物に入れ込んだ日々を送っています。11月23日は「こちどり園遊会」も地元杉並の大田黒公園で開催することになりました。
思えば、去年、吉成さんが間に立ってくださった台湾のバードフェスティバルへも、姉タカコと2人、着物での参加でしたっけ。現地の方はとっても喜んでくださいました。
私がそこで紅型の鳥柄の着物にハーネス着けて、探鳥をしていたのを面白がってくれたのが、またまた吉成さんで、そんな経緯からこの連載は「着物でハーネス」というタイトルになったのです。ハーネスは背中がタスキなので、これはとっても着物にいいのです。脇の部分に袂を入れられるし苦しくないし。オススメです。

着物というワクワクするものと出会って私の50代は幕を開けました。着物ででかける行く先々で、皆さんとっても大切にしてくださるのも嬉しいし、帯をすることで背中がしゃんとして持病の喘息が治まり気味になっているのもラッキー。これからも私のできる範囲で着物を楽しんでいきたい思っています
ふだん着の着物でバードウオッチングに出かける人が増えたら楽しいですね!そのときは是非ハーネス、忘れないで下さいね!

♪こちどりのご案内はこちら
http://www.fieldart.net/yukata0608.html

Amazonで着物本のレビューをいっぱい書いてます
 気になる本があったら、本のタイトル部分をクリックくするとそれぞれの本のレビューをご覧いただけます。
着物にはまる!戸惑う私の道標:実践個人著
http://www.amazon.co.jp/gp/richpub/listmania/fullview/2ET7TBSA525TE/ref=cm_lm_byauthor_title_full/250-0399101-2247430

②着物にはまる!戸惑う私の道標:ムック編
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③着物にはまる!戸惑う私の道標:読み物編
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♪11月3日(祝)4日ジャパンバードフェスティバル出店します
第6回目のフェスティバル、私たちも6回目の参加です
手賀沼親水広場12番ブースでお待ちしています。
隣接したブースでは下記イベントを開催します
「谷口高司&ベクトル鳥のぬりえ工房」にお越しください。 

3日は「体験!“タマゴ式”鳥絵塾」
   今年の山階賞を受賞した長谷川博先生に敬意を表し「アホウドリ」を描きます。
  12時~ 13時~ 14時~ 
  各回先着8名 各回参加費500円

4日は「実践!ぬりえ塾」
   ぬりえカフェで好評だった「鳥のぬりえ ぷち」の中からヤマガラを美しくぬってみましょう。
  11時~  12時~ 13時~
  各回先着8名 各回参加費500円(含むぬりえ)

 こちらから手賀沼親水広場をクリックしていただくと場所をご確認いただけます。
 http://www.birdfesta.net/map/map.html

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♪10月10日(火)小学館「BE-PAL」11月号「野の人」
111ページから掲載
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♪谷口高司の額装原画イラスト、店頭で販売開始しました。
♪誠文堂新光社からぬりえの本がでました! 「色鉛筆でたのしむ大人のぬりえ 日本の鳥」
12種のぬりえと見本。税込み1000円
もちろんホビーズワールドでも取り扱い中です
http://www2.osamadesk.com/st/us2133/shop_detail.php?id=963

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【野鳥の絵を楽しむ教室:いずれも事前申し込みが必要です】
◆今月の「谷口高司と野鳥を楽しむ会」
描きおろし完全オリジナルテキストを使ってタマゴ式鳥絵塾。


9日(火)9時半 JR高尾駅北口改札口9時半集合 雨天中止
多摩森林科学園で「ゴジュウカラ」を描きます。別途入場料要。

19日(木)18時半 アンサンブル荻窪「年賀状用の鳥」
必ず事前にお申し込みください。参加費は1000円です。
レンタルで画材もご用意できます(別途300円)
詳細はこちらへ  http://www.fieldart.net/drawing.html

◆丸の内さえずり館 MARUNOUCHI鳥絵塾 
毎月第一水曜日19時、丸の内でお会いしましょう!
お問い合わせ・申し込みは直接丸の内さえずり館へお願いします。
http://www.m-nature.info/about/index.html

~「着物でハーネス」バックナンバー~
第1羽 「図鑑と私の切ない関係」
第2羽 「きっかけは“ぬくもり”」
第3羽 「雨は好きですか?」
第4羽「『鳥のぬりえ』夏場所」

第5羽 「旅でであった鳥」
第6羽 「か行の話で、ごめんなさって・・」
第7羽 「善福寺池男2人の物語」
~「着物でハーネス」最新ページへ~

 「色鉛筆で楽しむおとなのぬりえ 日本の鳥」
谷口 高司・著/誠文堂新光社
¥1,000(税込)
着物でハーネスでもお馴染みの「鳥のぬりえ」がついに出版されました!
原画をコンピューター処理するだけのぬりえが多いなか、数々の野鳥図鑑を手がける谷口氏が“ぬるひと”のことを思いながらひとつひとつの線を描いたぬりえです。
手にとってみれば決して技術を詰め込むようなことはせず、“ぬりやすさ”を第一に考えられていることがお分かりいただけるでしょう。
前編に“鳥を鳥らしくぬるコツ”を丁寧に解説したページや、いきなりぬりはじめるのはちょっと勇気がいるなぁ・・という方の為に“練習用”があったりとまさに至れり尽くせりの内容です。

ご自分用としてはもちろん、ギフトにも最適です。幅広い年代の方に喜ばれることでしょう。

ギフト用もご用意
いたしました。
谷口高司氏が全ての図版を担当された主な出版物
新・山野の鳥
新・水辺の鳥
“タマゴ式”鳥絵塾

鳥のぬりえ

台湾野鳥図鑑

BIRDS OF KOREA
(韓国野鳥図鑑)

WATERBIRDS OF ASIA(アジア水鳥図鑑)
谷口高司氏オリジナルグッズ
野鳥絵葉書集
第一集
第二集
フクロウ
面々シール

生きてみせる!
シマフクロウ
ポスター
Hobby's World店舗には
オンラインではご紹介できない、一点ものの作品も多数ご用意しております。
「谷口高司と野鳥を楽しむ会」
野外で鳥を観察しつつ描くというユニークなスタイルで、初めての方でも楽しく鳥の絵がかけるイラスト教室です。
谷口高司氏から直接指導いただけることはもちろん、いつもパワフルなりつこさんにお会いできるのも楽しみのひとつです。“タマゴ式”鳥絵塾」「鳥のぬりえ」もこの会から生まれました。
 詳しくは 谷口高司 鳥絵工房http://www.fieldart.net/ からどうぞ。
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