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第4羽 「「鳥のぬりえ」夏場所」
6月半ばから7月いっぱい、私は毎日荻窪ののどかな商店街で、カフェの女給さんをしています。生まれて初めての体験で、道行く人を眺めているのも楽しい毎日です。
カフェの名前は「ぬりえカフェ m」。まずぬりえを選んでいただいてから、お茶とおやつを選んでいただくお店です。
「鳥のぬりえ」が誕生したおかげで、素敵な方々と面白いことにいっぱい出会うことができて、しみじみ幸せと思う今日この頃です。
【ぬりえが生まれたわけ】
オンナは…若い子も、お姉さんも、おばさんも…おそらく皆「おまけ」とか「特製」とか「限定」とか「貴女だけ」とかが大好きです。
当然、私もそういうものにはめっぽう弱い。
去年の春「“タマゴ式”鳥絵塾」を発行した時、同じく「お得感大好き」な担当の編集のSちゃんと「ともかく美味しい本にしたいねぇ」と話していました。美味しいって別に本を食べるわけではありませんが、買ってくださったお客様が「お〜」「え!?」と驚くようなお楽しみや「やったぁ」と思うおまけを入れたかったのです。
本編での「美味しい」部分は、マットや額の組み合わせで変身させ、一枚の絵が何パターンでも楽しめるヒント集をつくりました。別ページでは鳥の世界の“有名人”のみなさまに、実際タマゴ式で描く鳥にチャレンジてもらいました。え、あの人がこんなに上手に?とか、え?あの人ってもしかしたら絵はお嫌いだったのね…とか、鳥好きさんたちの反応は上々でした。
「おまけ」の方は「タマゴ式」に欠かせない「タマゴのシルエット」の切り抜き型紙をつけました。本当はルビーのような美しい赤にしたかったのですが、紙の手配がつかずに、海のブルーになりました。
でもオマケが一個じゃ寂しいね〜と、文一総合出版の社長さんにお願いをして「鳥のぬりえ」を2種作っていただきました。表紙のカワセミと、中に登場しているメジロです。まだ書店に大人が楽しむぬりえの本が並んでもいない頃のお話でした。これがうちの鳥の絵の教室の生徒さんにも大好評で、線を一から描いていくよりも、純粋に色を塗るだけに没頭できる「ぬりえ」もあってもいいのかな?と本邦初「鳥のぬりえ」の企画につながったのです。
【チームTORI−NURIの発足】
どこかの出版社に持ち込んでも、編集会議やら何やらで、出来上がりまではとても時間がかかりそうでした。だったら、お仕事のお仲間でチームを組んで、一つ土俵で私たちの作りたい「お洒落で、可愛くて、ぬりたくなる鳥ばっかりのぬりえ」を作ろう!と決めました。
まずは青房下、編集者のSちゃんです。いつもとても細かい配慮ができる女性で、「“タマゴ式”鳥絵塾」以前にも散々お世話になっていたのですが、“タマゴ式”で具体的に本を作っていく過程で、20歳近く年下の彼女の冷静な分析力にノックアウトされました。
ご飯を残さない、という当たり前のことができる若い女の子が少ない中、いつも見事な完食ぶりで美味しくご飯をご一緒できるのも、共に「お醤油党」なのも…怒りの論点が似ているところも似ているのでとても安心していられる女性です。
赤房下はMさんです。全く畑違いなお仕事から、広告代理店に入って、そこで素晴らしいデザインをするHさんと出会って、Hさん独立と一緒にふたりで事務所を切り盛りするようになったとか。
一緒に仕事し始めて15年たってもなお、Hさんを尊敬しているといいつつ、徹夜仕事連荘でも負けない頑張りやさんです。彼女のデザインしてくれた“タマゴ式”の表紙を見たときに、改めて本に一目惚れしてしまったほどでした。
白房下はTさんです。世に出ている「谷口高司のオリジナル商品」のほとんどを作っていただいている印刷会社ベクトルの社長さん。ベクトルには、もう20年近く谷口ものをお任せしているので、紙も印刷も完璧、この企画の大黒柱です。彼女は学生時代染色の勉強をしていくつかの会社を経たのち、印刷業界に足を踏み入れて二十余年。指に識別マシーンが付いている?と聞いたほど、触っただけで紙質や厚みを一発回答しちゃうスーパーウーマン。
日舞の師範で、私の着物のお師匠さんでもあります。
黒房下が私で、皆様にただただお願いし、いろんな方に知っていただく係…土俵中央に、つい忘れがちだった高司画伯に納まっていただき、この「チームTORI―NURI」はあっという間に発足しました。夏の暑い日に赤坂のMさんの事務所に通って、あーでもない。こーでもないと言いながら、かなり楽しくぬりえにする鳥を選びました。新しく絵を描き起こすことはせず、手元にある膨大な原画から、色や種類のバランスを見て決めました。見本とぬりえと並べてぬれたら楽だからシート方式で…できれば鳥の情報も入れたい…大きさも2種類あるといいね…ぬりえの紙は水彩にも耐えられるぬりやすいものに…と活発な意見が出ました。そして、それらがまとまり、メンバーが持ち場それぞれでソッコーでお仕事をして、9月には製品として出来上がったのが「鳥のぬりえ」でした。それぞれの世界でプロの彼女達が驚くほどの早さでした。
【「鳥のぬりえ」完成とサポートメンバー加入】
書店のルートには乗せられませんが、ホビーズ・ワールドはじめ日本野鳥の会、丸の内さえずり館など、お世話になっているところでの店頭・カタログ販売をしていただけることになりました。
我孫子や台北などのバードフェスティバルでの出店ブースでの販売では、お客様の直接の反応が見られて勉強になりました。台湾にはぬりえを楽しむという風習はあまり無いようでしたが、「台湾野鳥図鑑」の筆者のオリジナル商品ということで皆さん喜んでお買い求めくださいました。重い思いをして持って行った100セットはあっという間に完売で、彼の地の人が、あのぬりえをどう楽しんでいただいているか、今でもとても興味があります。
書店に並んでいる多くのぬりえは、著作権使用料の発生しない古い絵画を、パソコンソフトで線画にしています。
作者の感情の入っていない線画のぬりえは、どことなく冷たい印象があります。絵を描いた本人が思いを込めて線を手描きした「鳥のぬりえ」。発売後10ヶ月、爆発的ヒットとはいきませんが徐々に世の中に受け入れていただいているという感触はあります。何より「鳥のぬりえ」に惚れこんでサポートメンバーが3名増えたのが、人とのご縁を大切にしてきた私たちにとっては財産となりました。
Mさんの尊敬するデザイナーのHさん、そしてMさんHさんと親交のある編集者のFさん、Tさんのお知り合いのIさんのお三方です。
Hさんは最初から強力なメンバーで、でも怖いお姐さん4名のチームに入っていただくのは…とこちらがちょっと遠慮しておりました。Fさんは、超ヘビースモーカーの、なかなかユーモアのあるベテラン編集者です。共に同じ年、共にかなり年下の奥さん持ちということで、高司と二人で恐妻家連盟を作ったらしく、いつもあらぬ方向の話が弾んでいます。
Iさんは以前議員秘書をなさっていたこともある才媛で歌舞伎好き。ともかくシジュウカラが好きで「鳥のぬりえ」のシジュウカラのぬりえにノックアウトされたそうです。
この強力なお三方のサポートを得て、私たちの「鳥のぬりえ」は大きな一歩を踏み出すことになりました。
【「鳥のぬりえ」のこれから】
まず、Fさんのご尽力でこの夏に都内某出版社から「ぬりえ日本の野鳥(仮題)」が新たに出版されることになりました。生き物関係の本の編集長もされていた彼の識別眼で選ばれた、12種の日本の野鳥のぬりえ、親しみやすさの中にも格調高いものが出来そうで、書店に並ぶのがいまからとても楽しみです。
また、Iさんの発案で、調布にあるデイケアの施設に伺いました。お年寄りの介護の現場に「鳥のぬりえ」が活用できるか探りたかったのです。71歳から97歳までの方がご参加くださいましたが、縁の薄い外国の花や名画のぬりえと違って、なじみのある日本の鳥たちのぬりえは、とても親しみやすかったようで、予定時間を大幅に過ぎてもぬりつづける方ばかりでした。そしてぬっているうちにその鳥に関する記憶がよみがえり、頭の中に羽ばたく鳥の姿を思いうかべることで、よりいっそうの脳内が活性化されたようです。スタッフにも評判は上々で、やはりお世話するスタッフの皆様が楽しく取り組めるものは、介護される側の方々にも受け入れていただけることがわかりました。
高司自身も「この絵をぬりえにしたら…」「ここはこんな感じがぬりやすい…」とぬりえ視点を持ち始めました。いままで、描いた絵が印刷されたらどうなるか?というのは課題の一つでしたが、もう一つ先にも視線が行くようになったのは大きな変化です。
【そして、「ぬりえカフェm」】
6月に、荻窪の「アンの工房」というケーキ屋さんのオーナーから、教会通りにある息子さんのお店「カフェm」の夕方のお留守番を探している…というお話をTさんが聞いてきました。息子さんの体調が戻るまで、ともかくお店を開けておけたら、というお考えのようです。とても人通りの多いところなので、Tさんの発案は「ぬりえ喫茶でどう?」でした。「え〜いまどき喫茶はないでしょぉ」ということで「ぬりえカフェm」になりました。新作をいくつかと、お願いして描きおろしていただいた伴義之さんの「猫のぬりえ」が、道行く人の目をひいています。
ぬりえが縁で、台湾バードフェスティバルにも一緒にいったTさんと私は二人で「こちどり姉妹」というユニットを作って谷中・千駄木・根津の「ヤネセン一箱古本市」にも着物で参加、しっかり「鳥のぬりえ」の宣伝もしてきたうえに「ヤネセン賞」まで頂いてきました。7月には浴衣着付け教室もしますし、ネットショップ「こちどり」も立ち上げ、着物のリサイクルも始めたところです。
「鳥のぬりえ」の一番のファンかもしれないTさんと、もう、続・続々・また、またまた…くらいまでの「鳥のぬりえ」の構想を、店番しながら膨らませていて「着物の中の鳥のぬりえ」が出来たらたのしいね〜と語っています。
もし「おまけにぬりえ」を思いつかなかったら、こんなワクワクいっぱいの出来事にも出会えなかったわけで、あの時、きっと神様がおりてきてくれたのかなと思っています。
まだまだ「鳥のぬりえ」夏場所は熱いままです!
どうぞみなさまも「鳥のぬりえ」をのんびりとお楽しみくださいませ…
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◆期間限定「ぬりえカフェm」
荻窪駅北口・教会通り。青梅街道から入って100歩。
月〜土16時半〜20時(ラストオーダー19時半)
http://www.fieldart.net/nurie-menu.html
【野鳥の絵を楽しむ教室:いずれも事前申し込みが必要です】
◆今月の「谷口高司と野鳥を楽しむ会」
20日(木)18時半 アンサンブル荻窪「セキセイインコ」
必ず事前にお申し込みください。参加費は1000円です。
レンタルで画材もご用意できます(別途300円)
初参加の方は準備の関係で開催日より各1週間前が受付締め切りとなります
詳細はこちらへ http://www.fieldart.net/drawing.html
◆丸の内さえずり館 MARUNOUCHI鳥絵塾 8月は…
3日(木)19時「カワセミと柳」参加費画材料込800円
受付中 電話03-3283-3536日休11-19
◆読売・日本テレビ文化センター柏 特別講座
7月31日(月)◇カワセミ ◇ペンギン 特別講座開講
ぷち作品展も開催中です〜♪自信作ハシビロコウがお出迎え!
http://www.fieldart.net/kashiwa.html
◆(財)日本野鳥の会バードプラザ
8月1日(火)〜31日(木)「夏だって野鳥 谷口高司原画展」
夏景色に相応しい野鳥を集めてのぷち個展です。
◇タマゴ式体験鳥絵塾 8月7日(月)ツバメ 開講
http://www.wbsj.org/birdshop/index.html
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