| 第24羽 「動物園がスキ♪」
私達が主催する「谷口高司と野鳥を楽しむ会」、定例教室をスタートした頃は毎月いろんなフィールドに行き観た鳥を描いていました。ただ天候にも左右されるため、ここ数年は室内のお教室がメインとなっています。でもやっぱり野外も大好き!ということで年数回、野外のプログラムも組み入れています。
3月20日、東京上野公園のサクラの開花宣言が出た日が、ちょうど、今年初めての野外プログラムの日でした。会場は偶然、上野動物園で、この日、私たちは思いがけず咲き始めのサクラを楽しむことができました。イソップ橋からみる不忍池の景色が、朝とお昼で全然違ったので、何故かと思ったら、池の端に植わっているヤナギが芽吹いて、緑のカーテンを作っていたのですね。
さて、今回のテーマは「ハシビロコウの顔を描こう」です。憂いを含んだ横顔と、凛とした正面顔を出席者のみなさんに“タマゴ式”で描いて頂きました。動物園はこんな機会でもないとなかなか来られないから、と、皆さん楽しみに来てくださいました。
西園のハシビロコウが5羽飼育されているところにつきました。おや?前回来たときまで一緒だったフラミンゴはお引っ越ししていて広々した感じですね。
若きイケメン、♂のハトゥーエくんは今日もケージの中で微動だにせず。外に居る♀のサーナちゃんは相変わらず元気で、「動かない鳥」という定説は、こと彼女には当てはまらないように思います。
「きもかわ」=「気持ち悪~い、けど可愛い~」キャラクターですっかり有名になったハシビロコウですが、高司にとってこの鳥は憧れだったと言います。
小さい頃、日本野鳥の会創始者・中西悟堂の著書「世界の珍しい鳥と獣」の中に載っていて、モノクロの小さな写真に心がときめいてならなかったそうです。そういえば、世界三大珍獣のオカピが来たときより、ハシビロコウが来たときの方が、大興奮していました。海外のネイチャーツアーで遙か遠いウガンダまで行けば、会える可能性の高い鳥とのことですが、そこまでの旅程や旅費を考えると、まさに夢の鳥ですもの。
2年前の夏に、吉成さんやコーワの皆さんと一緒に上野動物園で「ハシビロコウを撮ろう、描こう」というイベントのお手伝いをしたときに、園長の小宮さんも、高司と同じ本を読んで、同じようにワクワクしていたとのお話しを聞きました。同じ年に生まれた二人の少年が、ハシビロコウにときめき、長じて、生き物に関係する仕事に就いているなんて、ハシビロコウの魅力ってすごいなぁと思います。
私がハシビロコウを初めてみたのは次男と行ったフランクフルト動物園でした。クリスマス市を体験したくて冬に出かけたのですが、雪が降ったばかりの動物園の狭いケージで、微動だにしない泰然とした風情に、畏敬の念すら抱きました。アフリカの鳥が、欧州でただ一羽、雪を見つめて何を考えているのかなぁと思ったものです。哲学者のような、宗教家のような、崇高な雰囲気がありました。
二十歳の頃、オランウータンに会いに一年で10ヶ所の動物園に行ったことを、以前にも書きましたが、オランウータン熱が冷めたあとも、旅先に動物園がある限り寄るようにしています。
札幌競馬場へ一ヶ月滞在出張だった時は、円山動物園のキリンに会いに良く行きました。今大人気の旭山動物園は、当時はまだとても寂れていた印象があります。海外旅行デビューのハワイでも、友達をホテルに置いてホノルル動物園に行きました。
小さいときに両親に良く連れて行かれた多摩動物園は、ライオンバスが有名です。バスが走るくらいなのでここの広さは子どもの足には途方にくれるほどでしたが、成人してからは、心地よいハイキングコースでした。
ただ鳥を観はじめてから熱心に通ったのは、上野動物園です。
駅からも近いし、不忍池のカモも面白い。クビワキンクロやアカハジロと会ったのもこの不忍池です。上野の動物の展示方法はとてもコンパクトにまとまっていて、歩いても距離が短いので疲れないのも魅力です。
動物園に興味を持っているとどうしても行きたくなるのが、ロンドン動物園でした。ただの見世物動物小屋や、個人が動物を趣味で集めたものとは違う、「科学的動物園」第一号で、世界中の動物園のお手本になっているとなれば、やはりこの目で見てみたいとずっと思っていました。今から10年以上も前、幼かった息子達を連れて初めてのロンドン行きを決めたときにも、行きたいところのベスト3に入れたほどです。
ロンドンの11月はすっかり冬で寒く、テンションも下がり気味。短い滞在にもかかわらず、息子達はお米が食べたい!と言い始め、昼前にオルドウイッチにあるホテルから、地下鉄でわざわざジャパンセンターに寄って、炊き立てのお米を買いました。日本から持って行った塩でおむすびでも…と思っていたのに「納豆食べた~い」という息子達の哀願の声に負け納豆も買いました。一回ホテルに戻るつもりでいたのですが「どこで食べるの?」「どうぶつえん」とはりきって答えます。それでもいいか、と気を取り直し、お米のパックと納豆を持ってタクシーでロンドン動物園へ。
憧れのロンドン動物園は、本で見たとおりのクラシックな入場門があり、著名な建築家による建物もそこここにありで、その雰囲気には、すっかり魅せられてしまいました。歴史博物館のようで、静かすぎる感じです。しかも展示方法まで極めてクール。展示動物の看板がどこにあるかを探すほどで、日本の至れり尽くせり感はゼロです。とりつくシマのない動物園という印象。動物も、何だか気のない態度ですが、考えてみたら、彼ら?は、来たくもないのに異国の地に連れてこられてるわけだし、居ることが重要で、愛想を振りまいてもらおうというのもヘンな話しです。
この頃はちょうどこの動物園の存在が危機にさらされているときで、空ケージも多く、うら寂しい感じでした。曇天で、平日の昼間のせいか、他の入場者ともほとんど会わず、ほぼ貸しきり状態で、よけいに寒さが身に染みたものです。
この時期我が家は、高司の仕事の関係もあって、上野・多摩・井の頭・葛西と、とても高水準の東京の動物園に、よく通っていた頃でした。入場してもただ点々と動物がいるだけの、寒々としたロンドンの動物園は、親に付き合い、期せずして動物園フリークになっていた息子達には全く魅力がなかったようです。
彼らの興味は一気に持って行った「お米と納豆」に。食べ物に興味があるのは檻の外も中も一緒ね…と、園内を流れる川の土手沿いにあったベンチでお昼にすることに。何が嬉しくて、ロンドンまで来て納豆をかき混ぜているのかわかりませんが、子ども達のニコニコした顔をみちゃうとしかたありません。
お米のパックと納豆と、持参の醤油を、5ペンスで買った割りばしで混ぜ、ベンチに座る息子達に給餌をはじめました。納豆が大好きで、でもネバネバが顔につくと収拾がつかなくなるため「あぁぁん」と、口をあけて待っているのも大好きだった幼かった息子達は、ここでもベンチに二人並んで口を開けて、私が箸で食べさせるのを待っています。
交互に納豆ご飯を食べながら「美味しいねぇ」「ロンドンにきて一番おいしっ」とこれまた脱力な感想。リバティのレストランや、ハロッズのフードホールの食事より納豆!?
ふと気が付くと、私の背後がざわめいています。
「日本人!?」「あれが箸か?」「アレは何?」というような英語が聞こえてきます…振り向くと20人近くの人が私たち親子を見つめています。あんなに空いていたのに、どこからこんな人が出てきたんでしょう?
気づいたら『納豆を食べる日本人親子』はロンドン動物園のその日一番のスターになっていました。だって私たちがそれまで園内で出会った人の数以上のギャラリーがいたのですもの。
小さい東洋人の男の子2人が、ベンチに座って、糸を引く奇妙な食べ物を給餌してもらう…私達は魅力ある展示動物であるために、最後の一粒まできちんと食べ終わったことは言うまでもありません。
私のつたない英語で「これは大豆で、日本では納豆といって、ポピュラーな食べ物なのです」と説明したことが、どれだけギャラリーに通じたかは微妙です。
何故、動物園が好きなのか、これといった答えは出ません。時に現実逃避だったり、時に子どもの付き合いだったり、時にお仕事がらみだったり…。その日の自分の精神状態で動物たちが「檻で守られている」と思えたり「檻に入れられている」と思ったりもします。
ただ動物園のあの空間は「みんな一所懸命、与えられた環境の中で生きている」ということを強く感じることができます。「地球に生きているのは人間だけじゃないんだぞ」という声なき声も聞こえてきそうです。
高司は小さな頃、「おぃ下野の動物園に行こう」と生き物好きの父親の自転車の後ろに乗せられて、よく井の頭自然文化園に連れて行ってもらったそうです。善福寺池から上野は遠くても、井の頭だったら近いですものね。ほんとに「したの」の動物園と思っていたようです。善福寺池と、ここの水生生物園でいろんな生き物に触れた体験も、いまの彼の創作活動に活かされているのは間違いありません。
小さい時の高司が畏敬の念で見ていたのは「戦前から生きているオオサンショウウオ」の存在だったといいます。
動物園は身近に命を感じることのできる場所です。そしていろんな学びの場でもあります。もちろん鳥とも親しめるワンダーランドです。鳥のデッサンをじっくりしたり、双眼鏡で鳥を追いかける練習をしたり、デジスコを楽しんだり。でも、のんびり楽しむならやはり平日、そしてサクラの時期以外でしょうか?何と言っても先日の上野はすごい人出でしたから。
それにしても我らがHobby’s Worldの主、吉成さんって、ハシビロコウにとっても似ているって思いません?
http://www.fieldart.net/
まだまだ工事中ですが時折のぞいてくださいね。谷口高司鳥絵工房のサイトです。
私のブログはこちらです。
この頃は春の便りを多く載せてます
http://blog.livedoor.jp/tamashigi/
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5月には店頭で「フィールドガイド日本の野鳥増補改訂版・増補部分原画展」を開催します。3月の展示でもご好評いただいた「バードオリエンテーリング」も、クイズの鳥をリニューアルして再登場します。詳細は次号に掲載します。お楽しみに!
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「MEMO男の部屋」3月26日発売号「趣味の会に入ろう!」特集で「“タマゴ式”鳥絵塾」の様子が3ページにわたり紹介されています。華やかなコウカンチョウを皆さんに描いていただいた様子が載っています。6名の方が初参加でしたが、みなさん上手に描いてくださいました。
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「Z」3月25日号「愛すべき野鳥たちとの出会い」特集では3ページに渡りイラストが紹介されています。「新・山野の鳥」「新・水辺の鳥」からのものですが、原画に近い大きさのため作品の迫力が伝わってきます。
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♪谷口高司の額装原画イラスト、店頭で販売開始しました。
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【野鳥の絵を楽しむ教室:いずれも事前申し込みが必要です】
◆今月の「谷口高司と野鳥を楽しむ会」
描きおろし完全オリジナルテキストを使ってタマゴ式鳥絵塾。
4月は華やかな鳥を描きます
11日(金)18時半 アンサンブル荻窪
「楽コース・コムクドリ」
17日(木)18時半 アンサンブル荻窪
「極コース・キセキレイ」
必ず事前にお申し込みください。参加費は1000円です。
レンタルで画材もご用意できます(別途300円)
詳細はこちらへ http://www.fieldart.net/drawing.html
◇過去のオリジナルテキストも頒布中です。1枚450円です。
参加申し込みの際に、ご希望の鳥をお教えください。
◆2008年度も、毎月第二金曜日と第三木曜日の月2回開催を基本として、年間計画を立てています。よろしくお願い致します。
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セカンドライフ「富士通島」では、美しい野鳥の看板が島を散歩することに掲示されています。こちらは今年一年ご覧いただけるとのこと。ぜひお散歩してみてくださいね。http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/37043.html
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