Hobby's Staff Report   vol.13 
 
「台湾馬祖諸島・ヒガシシナアジサシ」観察報告
2007年繁殖期には、世界中で20羽しか生息が確認されていない超・希少鳥類
Hobby'sのスタッフは全員がバードウォッチャーであり、デジスコユーザーです。
当然、休みにはフィールドで観察や撮影を行っておりますので、恥ずかしながら、その成果を交代で報告させていただきます。

デジスコだけでなく一眼やビデスコ、探鳥地など、ご不明の点がありましたら、遠慮なく問い合わせ下さい。
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正直なところ、数年前まで、ヒガシシナアジサシという鳥自体の存在を知りませんでした。
それもそのはず、ヒガシシナアジサシは太平洋戦争で絶滅されたとされていたのです。

そして2000年、今回訪ねた台湾・馬祖諸島のオオアジサシのコロニーで、偶然にも再発見されたのです。
発見されたときのエピソードを聞きましたが、帰宅後のビデオ画像をチェックして気付いたとか...。
2000年以降も毎年確認されているわけではなく、もっとも絶滅に近い種と考えられても不思議ではありません。
台湾では、「神話の鳥」と呼ばれているのも頷けますね。

今年の繁殖期、ヒガシシナアジサシは世界中で20羽ほどしか確認されておりません。
内訳は、馬祖諸島の2つの繁殖地で8羽と7~8羽の計約15羽、中国の福建省で5羽だそうです。
つまり、希少と思われていたクロツラヘラサギよりも、確認されている個体数はずっと少ないのです。

今年のツアーを実現するため、まずは現地鳥学会の会長へ、台湾の知人から連絡をとってもらいました。
保護的な立場からすると、部外者は歓迎されないかなと心配しましたが、繁殖が落ち着いた7~8月には観光客も見ることができるそうで、簡単にOKの返事を頂くことができました。
しかし前述の通り、毎年飛来が確認されている訳ではなく、5月にコロニーへの飛来が確認されてから具体的に計画しようということになりました。
しかし5月の終わりになっても、「まだ確認されていない」との返事ばかり。
「ことしは駄目か」と思い始めた6月の初旬、ようやく”飛来”のニュースが飛び込みました。
その後は大急ぎで準備を始め、8月の初旬に出発することになりました。

一行12名は、台北の桃園空港到着後に松山空港に移動し、馬祖諸島の南竿という島に着きました。
そして翌日、 定期船で西莒まで移動し、チャーター船でコロニーを訪れました。
コロニーの岩にはオオアジサシがたくさん降りており、揺れる小型船上からヒガシシナアジサシを探します。
案内してくれた馬祖鳥学会会長の張さん、現地の校長先生はさっそく発見し、一所懸命場所を教えてくれます。
ようやく目が慣れてきた頃、1人、また1人と個体を確認しはじめ、30分後にはようやく全員が見ることができました。
全員の話を照合すると、全部で7羽が確認されたようです。
訪ねたコロニーには8羽の飛来が確認されているとのことでしたから、なんと8羽中の7羽が確認されたことになります。

この模様は現地の新聞にも紹介され、ローカル紙ながら1面を飾ることになりました。
案内して頂いた張さんも、「来年来てくれたらテレビ局を呼んで大々的に報道しよう」と言ってます。
何事か?と思って聞いてみると、「台湾政府のヒガシシナアジサシに対する保護施策は充分ではなく、海外から注目されるほど希少性が高いことを理解させることに利用したい」と言うのです。
現地に来るまでは、「本当は迷惑ではないだろうか?」との疑念が拭えませんでしたが、これを聞いてようやく安心しました。
「ならば日本でも、積極的に紹介しよう」との思いで、面識のある記者に掲載を依頼し、朝日新聞に掲載されることになりました。
ご覧頂いた方もいらっしゃるかもしれませんが、掲載された写真は、コロニーに隣接する浜で撮影したものです。

今年は充分に満足したのですが、「保護につながるなら、興味のある仲間を連れて来年も訪ねてみたい...」との思いでいます。
ただし、台湾の夏は台風の季節です。
計画段階から執拗に脅されたように、今回の訪問中にも2つの台風が台湾を直撃していきました。
参加者には、「天候によってはアジサシが見られないことも覚悟しておくように」と事前に話して了承を得てましたが、まさかこれほど影響を受けやすいとは思ってもみませんでした。
これから計画してみようとお思いの皆さん、どうぞ余裕をもった日程で計画してください。

機材:Canon EOS D30 + Canon EF 500mm F4
今回の担当は吉成でした。

左・右: ヒガシシナアジサシ(同一個体)

揺れる船上から撮影した個体です。
手ブレを警戒し、ISO400~800、シャッター速度1/25001~/4000で撮影しました。
船は足下のスペースが少なく、前後に足を踏ん張ることができません。
かなり無理な体勢で撮影していたようで、帰国後は腰痛に悩まされています。

飛翔個体: ヒガシシナアジサシ
他の3羽: オオアジサシ
翼上面の色を比較していただければ、オオアジサシとの違いは一目瞭然。
かなり黒っぽいオオアジサシと比べて、ヒガシシナアジサシは淡い色です。
オオアジサシの嘴は黄色ですが、ヒガシシナアジサシの嘴は先端部が白、次が黒、残りの2/3は黄色です。

左: ヒガシシナアジサシ(左)、オオアジサシ(右)
右: 今回訪れた蛇山コロニー
馬祖諸島には、アジサシ類のコロニーが幾つもあります。
ヒガシシナアジサシのコロニーは今年は2つありましたが、毎年同じ所とは限らないそうです。
ヒガシシナアジサシとオオアジサシの違いがお分かり頂けると思いますが、光があたると、もっと顕著に違いがでます。

左: ヤマムスメ
右: レンカク
予定通りに進行したため、後半は台北市周辺で探鳥です。
左は烏来のヤマムスメ、右は関渡のレンカクです。
関渡のレンカクは今年初めて繁殖を行ったそうで、そのためか、時期が少しずれて遅かったように思います。
近くにヒナを連れており、シラサギを追い払った場面です。

怪しい鳥を発見 !!
一見するとアジサシかカモメのようですが、足が何とも不気味です。
どうやらこの鳥、魚ではなく、小鳥や哺乳類を捕らえる獰猛な種のようですが、嘴は可愛らしいですね。
馬祖で利用した、貸し切りバスに描かれてました。

Hobby's Staff Report バックナンバー
vol.1 新潟県瓢湖 vol.2 愛知県伊良湖岬 vol.3 台湾・金門島 vol.4 東京~小笠原~硫黄島クルーズ
vol.5 冬の今津 vol.6 ケアシノスリ&浮島周辺の鳥 vol.7 手賀沼&コアジサシ営巣地
整備作業ボランティア参加報告
vol.8 春の都市公園
vol.9 立山・室堂ライチョウツアー報告 vol.10 上野動物園「もっと知り隊ハシビロコウ」報告 vol.11 タカの渡り 白樺峠 vol.12 「冬の道東ツアー」報告

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